まず農業は当然ながら経済活動の一つである。
しかし、天候や病害虫など自らコントロールできない要素が多く、
他産業より不確実性の高い経済活動でもある。
作物を生産し、販売し、
利益を上げ、生活を成り立たせる。
規模によっては従業員を雇い、組織として経営を行うこともある。
これは他の産業と同じである。
ただし、農業には他産業とは異なる特徴がある。
・天候に左右される。
・病害虫にも左右される。
・市場出荷であれば価格を自分で決められない場合も多い。
農業は成果が出るまで時間がかかる。
・作物によっては収穫まで数か月
・果樹であれば収穫まで数年
売上を伸ばそうとすると人を雇う必要があるが、
人件費という固定費が発生する。
ハウス栽培などでは数千万円単位の設備投資も珍しくない。
その一方で、
経営者自身ではコントロールできない外的要因も多い。
・政策変更
・原油価格
・肥料価格
・為替相場
など、
経営努力だけでは対応しきれない要素の影響も受ける。
さらに農業はノウハウの共有も難しい。
果樹と葉物では栽培技術が全く違う。
米とトマトでも求められる知識や技術は異なる。
露地栽培と施設栽培でも考え方は大きく変わる。
同じ作物でも地域や土壌が違えばやり方も変わる。
ある地域で成功した方法が、
別の地域でそのまま通用するとは限らない。
つまり農業は、
他産業で一般的な「標準化」が難しい。
だからこそ、
マニュアルをそのまま当てはめるだけではうまくいかない。
地域ごとの工夫や試行錯誤が重要になるのである。
しかし、
これは農業だけが特別に大変という意味ではない。
どの産業にもそれぞれの難しさがある。
農業の場合は、
その難しさが天候や自然という形で現れやすいのである。
商社時代、私は化学品や肥料原料を扱っていた。
原料価格が上がれば利益が減る。
為替が動けば採算も変わる。
もちろん大変だった。
しかし農業の場合は、それに加えて天候や病害虫とも向き合わなければならない。
農業は自然相手の経済活動なのである。

