空気は昔からそこにありました。
しかし、人類は長い間、
空気中の窒素を使うことができなかった。
それを変えたのが、
ハーバー・ボッシュ法です。
現代人の約半分は、
この技術による肥料で生きている
とも言われています。
今回は、
そんな人類史レベルの技術を、
対話形式でざっくり解説します。
ハーバーボッシュ法とは?

もし現代で、
ハーバー・ボッシュ法が突然使えなくなったら——。
世界人口の約半分は、
今の食料システムを維持できない
とも言われています。

それくらい、
窒素の肥料って人類インフラなんですよね。

でも面白いのが、
その原料って特別な鉱石じゃないって事。

世界中どこにでもある、
読者の皆様の目の前にもある
ただの、空気ですね!

そう!
空気中の約78%を占める窒素。
ただ昔の人類は、
その窒素を使えなかった。

「空気はある。でも肥料にはできない」
しかも、
その壁が空気そのものだったわけですね笑
なぜ窒素は使えなかったのか?

昔から空気に窒素があることは分かっていたわけですよ。

そうなんです。空気の成分は18世紀にはほぼ分かっていて、窒素が約78%というのも当時の科学者たちは認識していた。でも「分かっている」と「使える」は全然別の話なんだよね。

空気中の窒素って、超頑丈。付き合いたてのカップルより離れない笑

笑 まさにそれで!がっちがちで熱をかけても、電気を流しても、なかなか切り離せなかった。

空気中の窒素が簡単に取り出せたら、それはそれで地球が困る話になる 笑

笑 たしかに!
植物が勝手に窒素を吸収しすぎる。大気の組成が変わって生態系がめちゃくちゃになるよ。
頑丈すぎて困るのと、頑丈だから地球が安定しているのは表裏一体なんです。

それをフリッツ・ハーバーがやっと方法を見つけたんですよ。
高温・高圧・触媒とは?

そうです!散々誰もできなかったことを、ハーバーがついに解決した。
「高温・高圧・触媒」の3点セットを組み合わせることで、あの頑丈なカップルを引き離す事に成功したんです。発見から130年越しの失恋を達成させた!笑

ただ、この引き離す条件がマジでやばい。高温500度・高圧200気圧、さらにその結合を壊すモノが必要なんですよ。

カップルの例えで言うと「灼熱の部屋に閉じ込めて、超高圧でプレスして、さらに仲介者まで必要」みたいな笑

でもそれは研究室の話ですよね?少量でバカ高いコストをかければできるよ。

そこが大事なところで。「できる」と「使える」は全然別なんですよね。農家に売れる値段で、大量に、安定して作れて初めて世界を変える技術になる。

高温500度、高圧200気圧の条件を、安く・安全に・大量に・24時間稼働で生産できる設備が必要なんですよ。現代でもレベル高いですよ。正直、今の僕にも無理笑

笑 現代の技術があっても相当ハードルが高い話で。しかもそれを1900年代初頭に、コンピューター制御も高性能素材もない時代にやったわけです。
カール・ボッシュの工場化

その無理ゲーをやったのがBASF社のカール・ボッシュさん。

ハーバーが天才科学者なら、ボッシュは現場を動かした男という感じですね。どんな素材を使うか、どうコストを下げるか、どう安全を確保するか。超泥臭い問題を一個一個潰していった人です。

高温500度は「日常生活ではありえない鉄が赤く光る工業レベルの超高温」、高圧200気圧は「空き缶を一瞬でぺちゃんこにする水深2000mの海底と同じ圧力」。それを工場で安定的に作り出すって 汗

ミタッシュと触媒探し

あと仲介者の「触媒」探しも地獄 汗

そう!その仲介者が触媒ですね。
触媒って面白くて、
自分は変化しないのに、反応を助ける
という不思議な存在で。
カップルの例えで言うと、
引き離し屋さんが間に入って、うまいこと仲を裂く。でも引き離し屋さん自身は何も傷つかない
みたいな笑
ハーバー・ボッシュ法では鉄が触媒として使われています。
これもまた大変な話で、触媒は何でもいいわけじゃなくて、
- 効果が高い
- 安い
- 長持ちする
- 大量に手に入る
という条件が必要で、その触媒探しだけでも膨大な実験を繰り返したわけです。
灼熱・超高圧・仲介者の3点セット、全部揃えるのに何年もかかったわけですね。

さらって書いているけど ちょー大変だったんだよ!

ほんとそうで笑
今の会話でサラッと話してるけど、実際は
- 触媒を見つけるだけで何千回もの実験
- 設備の素材を見つけるだけで何年もの試行錯誤
- 爆発や失敗を繰り返しながら
という血と汗の塊みたいな話ですよね。
教科書には
「高温・高圧・触媒でアンモニアを合成」
の一行で終わるけど、その一行の裏に何十年分の苦労が詰まっているわけで。

そうなんですよ笑
「なんとなくこの方向かな」という仮説はあっても、
やってみないと分からない
しかも外れてもなぜ外れたかも分からないことが多くて。
- これを試した→ダメ
- じゃあこれ→ダメ
- 少し混ぜてみた→ダメ
- 温度変えてみた→ダメ
という繰り返しで。
現代みたいにコンピューターでシミュレーションできるわけでもないし、全部手を動かして実験するしかない時代ですからね。
ボッシュのチームは触媒候補を数千種類試したと言われています。
世界中の科学者・技術者・ケミストの皆様に敬意ですね。

当たりを探すというより、ハズレを一つ一つひたすら潰していく感じですよね。宝くじを数千回買い続けるようなもので、しかも当たりが存在するかどうかも分からない状態で。
「ハズレを潰していく」研究

その表現、めちゃくちゃ本質ついてますね。
「当たりを探す」じゃなくて
ハズレを潰していく
これが科学・研究の本当の姿。
エジソンの有名な言葉も確か
「私は失敗していない。うまくいかない方法を1万通り発見しただけだ」
みたいな話で、まさに同じ感覚ですよね。
しかも一個ハズレを潰すのに何週間もかかるわけで。
地味で、つらくて、終わりが見えない作業をひたすら続ける。
でもその積み重ねが世界を変える技術になったわけで。
この「ハズレを潰していく」という表現、途方もない作業量を日々行っている研究・仕事への見方が変わる一言だと思います。

当たりの素材を見つけても、そこからまた
- どれくらいの量?
- 何度が最適?
- 湿度は?
- 圧力は?
- 混ぜ方は?
という無限の組み合わせがあるわけで。
しかも条件が一個変わると結果が全部変わるから、
素材探し→条件探し→また条件探し
という沼の中の沼みたいな話で笑
さらに研究室でベストな条件を見つけても、工場の大きさになったらまた条件が変わるわけですよね。
小さい鍋でうまく作れたカレーが、大きい寸胴鍋になったら同じ味にならないみたいな。
これが全部解決して初めて「ハーバー・ボッシュ法」として世界に出てくるわけで、本当に気が遠くなる話ですよね。

これをアルヴィン・ミタッシュさんがやりきったのです!
ボッシュのチームの中で、触媒探しを専門に担当した人物。
数千種類の触媒候補をひたすらハズレを潰しながら試し続けて、最終的に鉄を主成分とする触媒にたどり着いた。
しかもその触媒、今でも基本的には同じものが使われているんですよね。100年以上前にミタッシュが見つけた答えが、現代の工場でも現役。
ハーバー・ボッシュ法って有名だけど、ミタッシュの名前はあまり出てこない。
ハーバーが鍵を見つけて ボッシュが工場を作って ミタッシュが触媒を見つけた
この3人がいて初めて完成した技術なんですよね。

・効果が高い
・安い
・長持ちする
・大量に手に入る
こんな触媒を探せってモンスタークレーマーだよ。
でもこれが社会問題を解決する本質なのかもね。

つまりハーバー・ボッシュ法は3人で完成した技術だったわけです。
最後に
このブログは、
「読んだ後に、仕事・商談・雑談・授業で、自分の言葉で話せるようになること」
をコンセプトに書いています。
そのため今回も、できるだけイメージしやすいように、対話形式を交えながら解説してみました。
化学や工業の話は、最初は少し難しく、とっつきにくく感じるかもしれません。
ですが、その裏には多くのロマンがあります。
「ハーバー・ボッシュ法」は、
空気中の窒素を、人類が利用できる形へ変えることで、世界の食料事情を大きく変えた革命的な技術です。
鉄が赤く光るほどの超高温と超高圧を使い、人類は“空気から肥料を作る”ことに成功しました。
教科書では一行で終わる技術ですが、その裏には、気が遠くなるほどの試行錯誤があります。
「へぇ、面白い」
そんな小さな興味が、世界の見え方を変えることがあります。
この記事が、みなさまの
「理解のフック」
になれば嬉しいです。
プロフィール
中国化学品・肥料原料ビジネスに長年携わり、現在は独立して化学肥料原料・工業原料の輸入事業を準備中。
これまで:
- 化学肥料原料
- 中国原料ビジネス
- 中国メーカー開拓
- 原料物流
- 海上輸送
- 商社実務
- 農産物ネット販売
- ECサイト運営
- ECサイト店長業務
などに携わってきた。
また、実家が農家であり、自身も農業従事者(初心者)として、地方・田舎での農業や肥料の現場感覚も学んでいる。
特に:
- 硝酸石灰(硝酸カルシウム / Calcium Nitrate)
- 硝酸カリウム
- 水耕栽培
- 化学肥料原料
- 中国化学品
- 原料輸入
- 肥料物流
- 潮解性肥料
- 商社ビジネス
- 中国輸入
- 農業資材
などを専門分野としている。
中国・化学品・肥料・農業・物流・地方ビジネスを横断しながら、実務ベースで情報発信を行っている。
詳細プロフィールはこちら:
Guchuan Fertilizer 自己紹介ページ

