―産業革命で世界に君臨した大英帝国の脅威―
「産業革命」とは
産業革命とは、1700年代の終わりごろから主にイギリスで始まった、
手作業中心だった社会が、「蒸気」を動力に機械を使う工業社会へ変わったことです。
たとえば布を作る仕事では、
- 昔:人が手で糸をつむぎ、布を織る
- 産業革命後:機械が大量に作る
ようになりました。
代表的なものには、
- 繊維産業の発展
- 蒸気機関
- 蒸気機関車
などがあります。
その結果、
- ものを大量に安く作れる
→ 服やさまざまな物が安くなり、買いやすくなった - 鉄道や工場が発展する
→ 多くの物を運べるようになり、働く場所や仕事の種類も増えた - 経済が成長する
→ 人々の生活が豊かになり、お金の流れも大きくなった
など、社会が大きく変化しました。
つまり産業革命は、
「機械によって社会が大きく変わった時代」
であり、現代社会へ歩み始めた第一歩といえます。
ほぼ【リアル世界征服】―「太陽が沈まぬ国」大英帝国―
子どものころ、誰もが一度は心を躍らせる言葉。
「世界征服」
しかし近代、実際に“かなりそれに近いこと”をやっていた国がありました。
それが、イギリスです。
19世紀〜20世紀初頭、イギリスは世界各地に植民地を持ち、
- 北アメリカ
- インド
- アフリカ
- オセアニア
- アジア各地
にまで勢力を拡大していました。
支配した陸地は、なんと世界の約4分の1。
もうスケールがおかしい。
その巨大すぎる領土から、
イギリスはこう呼ばれるようになります。
「太陽が沈まない国」
常にどこかで太陽が照っていた。
――つまり、地球のどこかは必ずイギリス領。
冷静に考えると、
かなりラスボス国家です。
世界で最初に成し遂げた産業革命。
その圧倒的工業力によって、
イギリスは大量の鉄・機械・船を作れるようになりました。
つまり、
「強い軍艦を大量生産できる国」
になったのです。
その結果、イギリスは世界最強クラスの海軍を持ち、
さらに巨大な貿易ネットワークまで築き上げました。
特筆すべきは、イギリス海軍。
当時、世界の物流のほとんどは船。
つまり海を支配することは、
世界経済を握ることでもありました。
海を支配することで、
- 貿易
- 植民地支配
- 軍事力
すべてを世界規模で展開できたのです。
そして世界中の海と土地に掲げられたのが、
🇬🇧 ユニオンジャック
現代でも、オーストラリアやニュージーランドなど、世界各国の国旗にその名残が残っており、大英帝国の影響力の大きさを今に伝えています。
ドラえもんのキャラで例えるなら、
- 出木杉君レベルの知識・技術力
(産業革命・科学技術・工業力) - スネ夫レベルの商売の上手さ・外交力
(貿易・金融・植民地経営) - さらにジャイアン級の武力
(世界最強海軍)
を全部持っていたような国です。
しかも海まで支配していたので、
「お前の港、今日から俺のもの」
が世界規模でできてしまった。
※実際は武力行使というより、
武力をちらつかせて相手にめちゃくちゃ不利な条件を押し付けていた
しかもイギリス1国で世界中の国を相手にしていたのである。
軍艦は消える。しかしルールは残る。
では、その圧倒的な国力を背景に、
イギリスはどのようなルールを世界へ広げていったのだろうか。
日本もその影響を強く受けることになる。
・関税自主権がない
→ イギリスは、自国の安い工業製品を日本に売り込みたい。
一方、日本としては、あまりに安い商品が大量に入ってくると、国内産業が育つ前に潰れてしまう。
そこで本来なら、輸入品に関税、つまり「割増料金」をかけて、国内産業を守ることができる。
しかし、不平等条約によって、日本はその関税を自分たちで自由に決めることができなかった。
「関税(割増料金)」を「自主」的に決定する「権」利が「無い」。
極端に言えば、
「自分の店なのに、自分で商品の値段を決められない」
ような状態である。
国内産業からすれば、これは
「試合開始前から、勝てないほどのハンデを背負わされている」
ような状態だった。
例えば当時のインドでは、イギリス製の安価な綿製品が大量に流入し、伝統的な織物産業は大きな打撃を受けた。
・治外法権
→ イギリス人は日本に住んでいるが、日本の法律ではなく、自国の法律で裁かれる。
つまり、
イギリス人は日本の法律の支配(治)の「外」の「法」で裁かれる「権」利がある。
これが「治外法権」である。
しかし日本から見ると「治内無権」である。
本来、日本政府の法律の支配(治)の内側で起きた事件であるにもかかわらず、
日本政府には裁く「権」利が無い。
つまり、
「裁判自主権が無い」
ということである。
極端に言えば、
「自分の家の中で起きたトラブルなのに、自分でルールを決められない」
ような状態である。
主権国家からすれば、かなり屈辱的な条件だった。
※「治内無権」は筆者による説明用の造語です。
・不平等条約
→ 条約なので形式上は両者が合意している。
しかし交渉力に圧倒的な差があるため、実質的には強い国に有利な内容になりやすい。
サッカーで例えるなら、
「試合には同意したが、実は審判も相手側で、しかも相手チームだけ有利な特別ルールがある」
ような状態である。
・租借地
→ 他国の一部を長期間借り受け、
港や商業都市として利用する。
現地から見ると、
「国内に外国の拠点がある」
ような状態である。
しかも、その拠点には外国の法律や行政が大きな影響力を持つ場合もあった。
・開港要求
→ 港を開いて貿易を行うことを求める。
貿易そのものは悪いことではない。
しかし当時の列強にとっては、自国の商品を売る市場を確保する意味合いも大きかった。
さらに軍艦を背景に要求されると、相手国は断りにくい。
つまり、
「自由な貿易の提案」
に見えて、
実際には
「断る自由がほとんどない交渉」
だったのである。
もちろん当時のイギリスだけが特別に悪かったわけではない。
当時の列強諸国は程度の差こそあれ、同じようなことを行っていた。
ただ、その中でもイギリスは圧倒的な
海軍力、工業力、金融力を持ち、世界のルール作りを主導していたのである。
本当に強い国は、武力だけで支配しない。
経済、金融、外交、そしてルール作り。
その全てを組み合わせて世界へ影響力を広げていくのである。
そして厄介なのは、軍艦はいずれ老朽化して消えるが、
ルールは何十年、時には何百年も残ることである。
さらに厄介なのは、多くの列強が自分たちのルールを
「文明的で正しいもの」だと考えていたことである。
自由貿易、法律、教育、宗教。
もちろん良い面もあった。
しかし、その価値観を受け入れない国や地域は、
「遅れている」
「文明化されていない」
と見なされることも少なくなかった。
つまり彼らは、
「力で従わせている」
という意識だけではなく、
「正しいことを広めている」
と本気で考えていた人達も多くいた。
現代でも、各国は自国に有利なルール作りや外交交渉を行っている。
国際政治とは、ある意味で国益と国益の調整の場だからである。
ただし19世紀〜20世紀初頭は、現在よりも軍事力の影響がはるかに大きかった。
そのため当時の列強諸国は、
軍艦を背景に現在よりもはるかに強い圧力をかけることができたのである。
つまり本質は今も大きく変わらない。
ただ、当時はそれがより露骨で、より極端だったのである。
19世紀は軍艦だった。
21世紀は経済力、技術力、金融、情報、国際ルールである。
現代は通知が一通届く。
制裁対象になった。
輸出規制された。
決済網から外された。
半導体が買えなくなった。
それだけで産業や国家が大きな影響を受ける。
血は流れない。
「自分たちに有利な環境を作ろうとする」
という構造そのものは、今も昔も大きくは変わっていない。
しかし影響力そのものが消えたわけではない。
むしろ見えにくくなった分、一般の人には気づきにくくなったとも言える。
++++++++++
当時の世界地図は、
イギリスの色で埋まっていた。
それほどまでに、大英帝国の影響力は巨大だったのである。

※もちろん、植民地支配・搾取・奴隷貿易・現地文化の破壊など、負の側面も非常に大きく、現在でもその影響は世界各地に残っています。
当時の世界を動かしていたのは――
圧倒的な海軍力と工業力を持つイギリスだった。
そして、そのイギリスに最も強い危機感を抱いていた国があった。
それがドイツである。
ちなみに――
その「世界最強クラスのイギリス」に真っ向勝負を挑んだ日本の藩がありました。
それが、薩摩藩。
大英帝国 vs 薩摩藩
現代で例えるなら、
「アメリカ合衆国 vs 鹿児島県」
くらいのスケール差です。
しかも薩英戦争の後、
なぜか両者は仲良くなっていく。
この話、本当に面白いので、
どこかでまた解説します。
最後に
ざっくりと解説しましたが、
「化学」や「歴史」は少し難しく感じるかもしれません。
しかし、その裏には多くのロマンがあります。
産業革命によって世界最強となったイギリス。 その圧倒的な海軍力と工業力は、世界経済すら支配していました。
しかし、そのイギリスを猛烈な勢いで追い上げた国があります。
それが、ドイツ。
後から工業化したドイツは、 最新技術を一気に導入し、重工業と化学工業で急成長しました。
しかし同時に、 資源や食料を「海上輸送」に頼る弱点も抱えていました。
そして、その海を支配していたのがイギリス海軍。
「海を止められた瞬間、国家が窒息する」
――そんな危機感が、後に
「空気から肥料を作る」
という、とんでもない技術へつながっていきます。
「化学」「歴史」「経済」は連綿と現代へつながっています。
この記事が、みなさまの
「理解のフック」
になれば嬉しいです。
プロフィール
中国化学品・肥料原料ビジネスに長年携わり、現在は独立して化学肥料原料・工業原料の輸入事業を準備中。
これまで:
- 化学肥料原料
- 中国原料ビジネス
- 中国メーカー開拓
- 原料物流
- 海上輸送
- 商社実務
- 農産物ネット販売
- ECサイト運営
- ECサイト店長業務
などに携わってきた。
また、実家が農家であり、自身も農業従事者(初心者)として、地方・田舎での農業や肥料の現場感覚も学んでいる。
特に:
- 硝酸石灰(硝酸カルシウム / Calcium Nitrate)
- 硝酸カリウム
- 水耕栽培
- 化学肥料原料
- 中国化学品
- 原料輸入
- 肥料物流
- 潮解性肥料
- 商社ビジネス
- 中国輸入
- 農業資材
などを専門分野としている。
中国・化学品・肥料・農業・物流・地方ビジネスを横断しながら、実務ベースで情報発信を行っている。
詳細プロフィールはこちら:
Guchuan Fertilizer 自己紹介ページ

